ゆるふわのポニーテールに、常識があって、気配りができて、ときにはわがままも言うけれど、基本的には聞き分けがよく、素直…以上は一般的な「モテる女」の必須条件。一方、伊藤野枝は、最初のパートナー辻潤からは「襟垢娘」と言われ、叔父で実業家の代準介が「もうやめてくれ」というまで手紙を出し続けた性格の持ち主。しかし、あのアナキスト大杉栄を「僕はもう、本当に、あなたに占領されてしまったのだ」と溺れさせ、今なお、多くの研究者(男性)の心を捉えて離さない。そう、彼女は「モテ」の必須条件の「従順さ」を、家父長制度を否定することによって蹴り飛ばしている。『青鞜』2代目編集長でもあった野枝は、女性解放の本質を、自分の経験と感覚から見抜いた。「恋多き女」伊藤野枝から、学ぶことは多い。

古瀬かなこ(伊藤野枝の記念碑設置プロジェクト・呼びかけ人)

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